相続税額の計算|相続税・贈与税 11

相続税額の計算|相続税・贈与税 11

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相続税額を算出するには

相続税は、相続や遺贈によって、一定額を超える財産を取得した場合に支払わなければならない税金です。具体的な課税額を計算するためには、以下の手順を踏みます。

  1. 課税価格の算出 ⇨ 課税遺産総額の算出
  2. 法定相続分に応じた相続税総額の計算
  3. 納税義務を負う各個人の実際の納税額を算出

1. 課税価格の算出 ⇨ 課税遺産総額の算出

まず、課税価格とは、相続税の対象になる相続財産を指します。相続税の課税価格は、本来の相続財産(不動産や現金などの遺産)みなし相続財産相続税の課税対象に加える贈与財産(相続時精算課税を選択して贈与を受けた財産など)の額を加算した価格から、非課税財産、債務、葬式費用などを差し引くことで算出できます。

加算項目 減算項目
本来の相続財産(現金・不動産など) 債務
みなし相続財産(生命保険金・死亡退職金など) 葬式費用・墓石代など
相続開始前の一定期間内に贈与された財産(暦年式生前贈与) 生命保険金・死亡退職金のうち非課税となる金額:「500万円 × 法定相続人の数」
遺贈されたもの(遺言によって法定相続人以外の人や団体に譲られた遺産です) 相続税の課税価格
相続時精算課税制度を選択して贈与を受けた財産

みなし相続財産の例として、死亡保険金死亡退職金が挙げられます。死亡保険金や死亡退職金については、相続人が受け取った金額が以下の算式による値を超える金額について相続税の課税対象になります。

500万円×法定相続人の数

相続開始前の一定期間内に贈与された財産(暦年式生前贈与)

相続税の課税対象に含まれる贈与された財産の額については、注意が必要です。まず、生前贈与された財産に関しては、相続開始時(被相続人の死亡日)から遡って3年以内に贈与された財産の価額に限り、相続税の課税対象に含まれます。一方、遺贈により取得した財産の価額については、すべて相続税の課税対象になります。なお、この生前贈与加算は法改正により、2024年1月1日以降に贈与を受けた贈与からは持ち戻しの対象期間が延長されます。具体的には「相続開始前3年以内」から「相続開始前7年以内」へと変更されました。

相続時精算課税を選択した場合の贈与財産

また、相続時精算課税を選択して贈与を受けた財産については、相続開始時に贈与税・相続税が一体的に課税されます。よって、過去の贈与に関しても相続税の課税対象に含められます。この相続時精算課税制度も2024年1月1日以降に贈与を受けた贈与から変更が加えられています。具体的には、暦年課税方式による生前贈与と同様に、基礎控除110万円が創設されました。

非課税財産

相続税は相続を原因に個人が取得した資産に対して課税されますが、墓地、墓石、仏壇などは、課税にふさわしくない非課税財産として、相続税の課税対象から除かれます。その他、相続人が相続した被相続人の債務や、被相続人の葬式などにかかった費用も、原則として相続税の課税対象から除かれます。

課税遺産総額 = 課税価格 – 遺産にかかる基礎控除

相続税の課税価格を算出しても、ただちに全額が相続税の課税対象になるわけではありません。相続税法は、一定の価格を超える財産の取得に課税を行うとしています。その金額(基礎控除額)は、

  • 3000万円600万円×法定相続人の数

により算出され、課税の有無を決定する線引きに用いられます。すなわち、

  • 課税遺産総額=課税価格基礎控除額

がプラスになる場合にはじめて相続税の納税義務が発生します。

2.法定相続分に応じた相続税総額の計算

課税遺産総額がプラスとなり納税義務が生じた場合は、課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて相続したと仮定して相続税の総額を求めます。

  1. 各法定相続人の相続税額
    課税遺産総額 × 法定相続分×税率控除額
  2. 各法定相続人の相続税額の合算
    相続税の総額

3.納税義務を負う各個人の実際の納税額を算出

次に、相続税の総額を実際の遺産分割割合で按分した算出価額をもとに、各人の納付税額を求めます。ここで、被相続人の配偶者、子、父母以外の人が相続や遺贈で財産を取得した場合、その算出価額に2割が加算されます。なお、税額控除には、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、贈与税額控除、相次相続控除などがあります。

  1. 被相続人の配偶者、子、父母の場合の納付税額
    法定相続分に応じた場合の相続税の総額×(各人の課税価格 / 課税価格の合計)税額控除
  2. 被相続人の配偶者、子、父母以外の人の場合の納付税額
    法定相続分に応じた場合の相続税の総額×(各人の課税価格 / 課税価格の合計)×1.2税額控除
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