金融機関への相続届出|他界後のアクション 3

金融機関への相続届出|他界後のアクション 3

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金融機関への連絡

故人(被相続人)が遺した相続財産に銀行など金融機関の預金口座(ゆうちょ銀行などは貯金口座)が含まれている場合には、原則として、遺産分割が終了するまでには口座が凍結され、預金を引き出すことができなくなりますので、迅速に手続きを済ませる必要があります。また、相続人同士による遺産分割の手続き以外にも、金融機関における相続届出の手続きを済ませなければ、相続人は故人の預金を引き出すことができません。

(例外)相続財産の一定額についての払戻し制度

上記の通り、通常は遺産分割が終了するまで遺産分割対象となる銀行口座預金から相続人単独での払戻しをすることは困難です。しかしながら遺産分割が終了するまで相続人側で葬儀費用の支払いのほか当面の生活費の支弁に支障をきたすなどの問題があるため、平成30年の民法等の改正により相続預金の(一定額について)払戻し制度が設けられています。家庭裁判所の判断を通すか否かで二つの方法があります。

参考ページ:
遺産分割前に銀行口座から預金を払戻す

まず、銀行などに故人の名義の預金口座があることが判明した時点で、その口座がある金融機関にすぐに連絡しましょう。それによって、故人と金融機関との間の具体的な取引内容、相続の際に必要な手続のアドバイスを受けることができます。

必要な書類と手続き

最初に必要書類をそろえることからはじめます。金融機関に預金口座の名義人が死亡した事実を伝えた上で、指定された必要書類を過不足なくそろえるようにします。必要書類は、おもに遺言書の有無によって変わります(以下では、標準的な必要書類をまとめていますが、金融機関によっては追加書類を求められる場合があります)。

遺言がある場合

預金口座の名義人(被相続人)が生前から遺言を遺している場合は、遺言書の提出が必要です。

通常の遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という3つの形式がありますが、自筆証書遺言書で保管制度を利用している場合と公正証書遺言以外は、家庭裁判所の検認(検認済み証明書の付いた遺言書)が必要です。

その他、必要書類としては、名義人の死亡の事実と、請求者が正当な相続人である事実を確認する意味で、名義人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍謄本や改製原戸籍謄本が必要になる場合もあります)などを提出しなければなりません。この場合、法務局で発行された法定相続情報一覧図を取得していれば、ほとんどの金融機関で戸籍謄本などの代わりに提出できます。

参考ページ:
法定相続証明制度|相続登記 5

名義人の預金口座を相続する人については、印鑑証明書の提出も求められます。

遺言がある場合に必要なもの
遺言書+(家庭裁判所の検認済証明書)
口座名義人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本含む)あるいは法定相続情報一覧図
印鑑証明書

遺言がない場合に必要なもの

これに対し、預金口座の名義人が遺言を遺していない場合は、相続人全員の協議によるか、家庭裁判所の調停・審判などによって遺産分割を行います。

相続人全員の協議が済んで遺産分割協議書を作成したときは、相続人全員が署名・押印した遺産分割協議書を提出します。家庭裁判所による調停・審判を経たときは、調停調書や審判調書の謄本を提出します。

その他は、遺言書がある場合と同様ですが、遺産分割協議書を提出する際は、預金口座を相続する人だけでなく、相続人全員の印鑑証明書の提出が必要になる点に注意が必要です。

遺言がない場合に必要なもの
遺産分割協議書+(家庭裁判所の調停証書あるいは審判調書の謄本)
相続人全員の印鑑証明書

これらの必要書類とあわせて、金融機関が指定する書式の相続届に記入し、相続人全員が署名・押印の上で提出すると、預金口座の名義人が相続する人に移転し、預金の払戻しを受けることができます。

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