死因贈与とは|相続と遺産分割 6

死因贈与とは|相続と遺産分割 6

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死後に財産を渡す方法としての死因贈与

死後に財産を渡す手段として、相続や遺贈の他に、死因贈与という方法もあります。

死因贈与とは、生きている間に贈与者の死亡を条件に贈与契約を結ぶ方法です。遺贈が財産を渡す側の一方的な意思であるのに対し、死因贈与は財産を渡す側とそれをもらう側の双方の合意(意思表示の合致)が必要となります。

死因贈与とは・遺贈とは・生前贈与とは

この贈与は、遺贈や生前贈与のように、誰に対しても行えます。双方の合意が必要という点はあくまでも「贈与」ですが、財産を残す人が亡くなった時点で渡すため相続税がかかります。

死因贈与のメリットは、渡す側にとっては財産を渡したい人に確実に渡すことができ、もらう側にとっても事前に何をもらえるかが分かるという点です。

デメリットは、相続人に不動産を渡す場合、税金面で不利になる点です。

遺贈であれば、第三者への遺贈と相続人への遺贈では、登録免許税と不動産取得税の税率に差があり、相続人への遺贈は優遇されています。一方、死因贈与は、誰に対する贈与でも同じ税率となります。

負担付「死因贈与」の効力は負担付「遺贈」よりも強い

例えば、財産を上げる代わりに自分が死んだら「ペットの世話をして欲しい」「妻の介護をして欲しい」「妻に生活費として、毎月10万円を渡して欲しい」というようなときに、負担付遺贈または負担付死因贈与の方法があります。

負担付遺贈では、あげる人からの一方的な意思表示なので、もらう人はその内容を拒否する可能性もあります。一方、負担付死因贈与の場合は、生前に両者の合意のもとに契約しているので、履行される可能性は遺贈よりも高いと言えます。

ただ、この贈与の場合、遺言は必要ありませんが、双方に合意があったことを証明しなければなりません。口約束だけでなく、契約書を交わし、確定日付印を押してもらう、又は公正証書にするなどしておいた方が無難でしょう。また、被相続人の死後に、贈与された側が約束した負担を行わなかった場合や、その不履行を他の相続人が訴えたりする場合にも、契約が交わされたことを証明するために契約書が必要となります。

遺贈と死因贈与の違い

遺贈死因贈与
財産をもらう人の範囲誰でも良い誰でも良い
課税される税金相続税相続税
負担付負担(条件)を付けられる負担(条件)を付けられる
遺留分との関係遺留分の影響を受けるので、遺留分は発生する遺留分の影響を受けるので、遺留分は発生する
双方の合意必要ない。遺贈を受ける人(受遺者)の承認は必要なく、遺贈者の一方的な意思で財産を渡せる必要あり。贈与を受ける人(受贈者)の承諾が必要。贈与者と受贈者との契約によって可能となる
財産の移転方法遺贈者が遺言書に記しておく。民法に定められた遺言の方式である必要がある贈与者と受贈者が生前に契約する。契約書の書式に決まりはない。
効力の発生時期遺贈者が死亡したとき契約した時から権利義務が発生する。効力の発生は贈与する人が死亡した時。
撤回効力が生じるまでは、遺贈する人がいつでも撤回できる撤回できる。
ただし、負担付死因贈与契約の場合で、贈与を受ける人が既に負担を履行している場合は撤回できない。
相続放棄できる契約のため、一方的な放棄はできない
不動産登記と権利保全仮登記はできない。遺贈者の死後に所有権移転登記を行う。贈与者の生前に仮登記ができるので、もらう人は自己の権利を保全できる。
登録免許税相続人・・・0.4%
相続人以外・・・2%
2%(誰でも)
不動産取得税相続人・・・非課税
相続人以外・・・3%、又は4%
3%、又は4%(誰でも)
備考生前贈与とは、その名の通り『生きている間に財産を誰かに贈る』法律行為です。贈与は基本的にいつでも、誰にでもできます。ただし、沢山のルールがあるので、注意が必要です。

参考ページ

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