死後離婚と相続|遺産分割 7

死後離婚と相続|遺産分割 7

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死後離婚とは

配偶者と死別した後、「姻族関係終了の意思表示」により、その両親などとの姻族関係(結婚によって生じる親族関係のこと)を終わらせる制度があります。メディアで取り上げられるようになったことからか、この制度を利用する人が年々増えています。とくに女性(妻)側からの届出が多く、一般に死後離婚と呼ばれています(正式な名称ではありません)。

結婚すると配偶者の両親などとの間で姻族関係が生じ、その後配偶者と死別した場合でも姻族関係はそのまま残ります。この場合、死亡した配偶者の親族との姻族関係を終了させる方法として姻族関係終了の意思表示があります。その手続きは姻族関係終了届本籍地又は住所地の市区町村に提出するだけで済み、提出期限もありません。

手続き後の財産関係はどうなる?

姻族関係終了届の提出により姻族関係は終了します。しかし、そもそも離婚は夫婦双方の合意により成立するものであるため、配偶者が亡くなった後に自分と配偶者を一方的に離婚させることはできません。したがって、死別した配偶者の相続財産を相続することはできますし、遺族年金についても要件を満たしていれば受給することができます。戸籍についても死別した配偶者と一緒の戸籍のままです。氏もそのままとなり、旧姓に戻す場合には「復氏届」を提出する必要があります。

特別寄与料を請求したい場合には届出のタイミングに注意

なお、2018年の相続法改正により、相続人でない戸籍上の親族が、無償で介護や労務の提供により被相続人に貢献した場合、相続人に特別寄与料を請求できるようになりました。たとえば、夫と死別した妻が、夫の両親の介護などで貢献した場合、夫の両親の相続権を持たない妻が、相続人に対し金銭の支払いを請求できるという制度です。しかし、夫の両親の死亡前に姻族関係終了届を提出すると、夫の両親の親族でないことを理由に妻は特別寄与料を請求できなくなる可能性があるので注意が必要です。

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