相続預金の一定額についての払戻し制度
通常、遺産分割が終了するまで遺産分割対象となる銀行口座預金から相続人単独での払戻しをすることは困難です。
しかしながら遺産分割が終了するまで相続人側で葬儀費用の支払いのほか当面の生活費の支弁に支障をきたすなどの問題があるため、平成30年の民法等の改正により相続預金の(一定額について)払戻し制度が設けられました。
家庭裁判所の判断を通すか否かで二つの払戻し方法があり、それぞれ所要の書類など準備する必要があります。
① 家庭裁判所より審判を得て仮取得の認可を得る方法
すでに家庭裁判所に遺産分割の審判や調停が申し立てられている場合、その審判を得ることにより預金の仮取得を認めてもらうことができます。ただし認可に要件があり、かつ、家庭裁判所が認めた金額での払戻しになります。この方法で預金を払戻す場合、銀行側に以下の書類を提示する必要があります。
- 本人確認書類(払戻し希望者のもの)
- 家庭裁判所の審判書謄本
- 審判確定証明書(審判書上確定表示のない場合)
- 印鑑証明書(払戻し希望者のもの)
② 家庭裁判所の判断を経由せず直接金融機関から払い戻しを受ける方法
各相続人は口座(定期預金の場合は明細)ごとに次のうちどちらか小さい金額の払戻しを単独で受けることができます。
- 相続開始時の預金額×1/3× 払戻しを行う相続人の法定相続分
- 同一金融機関の払い戻し上限である150万円
この方法で預金を払い戻す場合、金融機関側に以下の書類を提出する必要があります。
- 本人確認書類(払戻し希望者のもの)
- 除籍謄本(被相続人の死亡の事実が反映された戸籍謄本)
- 戸籍謄本または全部事項証明書(被相続人の出生から死亡まで連続したもの)
- 戸籍謄本又は全部事項証明書(相続人全員のもの)
- 印鑑証明書(払戻し希望者のもの)