遺贈|相続と遺産分割 5

遺贈|相続と遺産分割 5

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遺言があれば、誰にでも財産を渡せる

「相続」は、一定の親族である相続人にしか権利がありません。したがって、死後に自分の財産を相続人以外の人にあげたいなら、遺言が必要です。逆に言えば、遺言さえあれば、誰にでも財産を渡すことができます。ただし、遺言はただ書面に残せばいいというものではありません。民法の定める一定の方式に従う必要があります。

遺贈とは

遺言によって、特定の人に財産を渡すことを遺贈と言います。遺贈によって財産を贈る人を遺贈者、遺贈によって財産をもらう人を受遺者と言います。単に財産を渡す代わりに、受遺者に一定の義務を課す負担付遺贈という方法もあります。相続人に対しても遺贈は可能ですが、「遺言による遺産分割方法の指定」や「相続分の指定」とも解釈できるので、あえて遺贈という言葉を使わず、「相続」として扱うのが一般的です。

遺贈は、その指定方法の違いにより、特定遺贈と包括遺贈に分かれます。

特定遺贈

特定遺贈とは、「Aに自宅を」「Bに〇〇社の株式を〇株」というように、誰にどの財産を渡すかを具体的に指定する方法のことを言います。

包括遺贈

包括遺贈は「Cに財産のすべてを」「Dに財産の3分の1を」というように、相続分の割合で渡す財産を指定する方法のことを言います。

包括遺贈を受ける人は、相続人でなくても、相続人と同等の権利・義務を持つことになります。包括遺贈は「どの財産を」「いくら分もらえるのか」具体的には分かりません。そのため、遺産分割協議にも参加して、相続人と話し合う必要があります。

また、特定遺贈は借金を引き継ぐ義務はありませんが、包括遺贈の場合は、指定された割合に応じてマイナスの財産を引き継ぐ義務があります。ただし、遺贈は、あくまでも故人(遺贈者)の一方的な意思表示なので、もらう人(受贈者)がその遺贈を受けたくなければ、放棄することもできます。

特定遺贈と包括遺贈の違い

特定遺贈 包括遺贈
方法 「□□の土地」「〇〇の株式」など、与える財産を特定する 「全財産の1/4」など、与える財産の割合を指定する
債務の引継ぎ 引き継がなくてもよい 指定相続に応じて引き継ぐ
遺産分割協議 参加しなくてもよい 参加する
遺贈の放棄 意思表示すれば、いつでも放棄が可能 遺贈があることを知った時から3カ月以内であれば、放棄又は限定承認(注)が可能。家庭裁判所に申し述べする。
備考 ※限定承認とは、相続人が遺産を相続するときに相続財産を責任の限度として相続することです。つまり、相続する借金などが、相続する財産よりも多い(債務超過)時には、亡くなった人から承継する相続財産の限度で、亡くなった人の借金などの支払いをするという、限度付きの相続のことです。
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