養子縁組|相続と遺産分割 11

養子縁組|相続と遺産分割 11

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養子縁組とは

血縁関係のない人同士で法律上の親子関係をつくり出すことを養子縁組と言います。養子縁組によって子の立場になる人が養子、親の立場になる人が養親です。

普通養子縁組を特別養子縁組

養子縁組には、当事者の合意と届出により成立する①普通養子縁組と、家庭裁判所の審判により成立する②特別養子縁組の2種類があります。

①普通養子縁組

養子縁組を結ぶと養子は養親の戸籍に入り、養親の氏(苗字)を名乗るのが原則です。更に、養子は養親の嫡出子としての身分を取得するとともに養親の親族との親族関係が発生します。

ただし、養親は養子よりも早く生まれた成年者という年齢制限がありますが、普通養子縁組には養子の年齢制限はありません。さらに、実親との親子関係が解消されません。すなわち、普通養子縁組の養子は、相続の場面において養親と実親の相続人となるわけです。

②特別養子縁組

これに対し、特別養子縁組は、虐待や育児放棄などを受けている子に適切な教育環境を確保するための制度です。この場合、養子は原則として6歳未満で、独身者は養親の資格がありません。特別養子縁組が成立すると、実親との親子関係が解消されます。従って、特別養子縁組の養子は、相続の場面において実親の相続人になることはできません。

なぜ養子縁組をすると節税対策になるのか

相続税には基礎控除額の制度があります。相続財産の総額が基礎控除以下であれば相続税は課税されません。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」という数式によって計算されます。養子をとることで相続人の数を増やすことができるため、養子縁組は節税対策の一つとされています。

養子縁組により節税効果の例

基礎控除(相続税がかからない範囲)
3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円
相続人が配偶者と子1人の場合の基礎控除
3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円
配偶者と子1人、養子2人の場合の基礎控除
3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
節税効果
養子1人をとることで、600万円課税額を減らすことができる

相続税算定上では相続人として算入する養子数に制限がある

しかし、相続税法では、相続人に算入できる養子の数を制限しています。それは、無制限に養子をとって課税を免れることを防止するためです。具体的には、実子がいない場合は養子2人実子がいる場合は養子1人までとなります。尚、特別養子は実子と変わらない扱いを受けますので、上記の養子には含まれません。

養子縁組のデメリット

節税効果が期待できる反面、相続人となる他の親族の側から見れば、養子縁組は自分たちの相続分が減ることになります。従って、親族に内緒で養子をとった場合、相続争いに発展する可能性があります。また、養子が遺産の取得を強く主張した場合に遺産分割協議が難航することも考えられます。養子縁組に当たっては、親族の了解を得ておくことがトラブル防止につながります。

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